目次3-6 1)電車の中
ヘッドハンターとして、ONとOFFをどのように自己管理する必要があるか、そのことについて書いてみたいと思う。自己管理といえば、健康管理、日々の勉強、社会との関わり方など、色々な観点で大切な概念であるが、ここでは一番基本的なこと、つまりヘッドハンター特有の「機密情報の取り扱い方」に関する話をしよう。
ヘッドハンターの職場には、多くの個人情報が蓄積されている。ヘッドハンターは、個人の機密情報を材料に仕事をしているといっても言い過ぎではない。そのため、こうした個人情報に対して、どのような姿勢で接しているのか、そこが「信頼されるヘッドハンター」になるために重要な注意点となる。
一番気をつけなければならないのは、電車の中である。ヘッドハンターももちろん電車に乗って移動するわけだが、クライアント企業に訪問する直前、電車内で声高に打ち合わせをしているヘッドハンターを見たことがある。よく聞いていると、企業の機密情報が彼らの口から漏れている。なかには、「〇〇部長がはずされたあと・・・」などという、恐ろしい話が含まれていたりもする。また、ある特定のビジネスマンの経歴に関する話を電車の中でするヘッドハンターを見たことがある。聞く人が聞けば、これから転職をしようとしているある個人を特定できるほど、機密情報が漏れている。
このように、電車の中は要注意である。狭い空間にビジネスマンがたくさん乗っており、移動中のヘッドハンターが、こうして無意識のうちに機密情報を漏らすようでは、事態は深刻である。ここまで読んでこられて、「そんなバカなことがあるのか」と憤激されている方もいるだろう。通常はありえない話であるのだが、私は実際に、こうした光景を何度も見ている。
原因は2つある。ひとつは、ヘッドハンターになる人の中に、ビジネスマンとしての常識を叩き込まれていない人が多くいることである。ヘッドハンターという仕事が営業職的な要素が強いために、なかには結果を出すために、強引な手法をとるものがいることも関係がある。つまり、現場にいるシニアコンサルタントが、十分、若手ヘッドハンターを指導できていないことが大きな原因なのである。もうひとつは、外国人ヘッドハンターの存在だ。彼らは、英語で話せば、多くの日本人は理解できないだろうと考え、電車の中で大きな声で、信じられないような機密情報を漏らしていることがある。私はたまたま英語がわかるために、彼らが私の横で何度か、すごい話をしているのを電車で聞いたことがある。このような外国人ヘッドハンターと一緒に働いている日本人ヘッドハンターの中には、感覚がおかしくなってしまう人もいるのだ。
基本的には、ヘッドハンターは電車の中では仕事の話をしないことが望ましい。特に、同じ会社のヘッドハンター同士で移動中は要注意である。忙しさのために、どうしても電車内で打ち合わせをしたい誘惑に駆られる。私も過去には電車の中で小声で打ち合わせをしたことがあり、誰にも聞かれてはいないとは思うものの、反省している。
