キャリアデザイン編:2004年01月05日(月)履歴書にウソを書く人の心理とは
最近のトレンドは、履歴よりも職歴を重視することである。
自動車業界担当の外資系コンサルティング会社の採用支援をしていたときのことだ。当然ながら、自動車会社出身の候補者が多い。
興味深かったのは、会った方々の職歴である。「売上目標の150%を達成した」。「新規販売店の利益率が昨年度比で3倍まで拡張した」。
「事業部のコスト削減40%を達成した」。実績の詳細をアピールする人が増えているのである。
これだけの立派な職歴を持つ人材がいたにもかかわらず、業績不振であった日本の大手自動車会社は何だったのだろう、
という素朴な疑問を感じた。一方で、優秀な職歴を持つ社員にたくさん辞められた大手自動車会社の将来について、心配になったものである。
ヘッドハンターは、職歴をどのように判断するのか。実際会ってみたら想像していたような人物でない場合もある。
特にギャップが激しい場合などは、かなり懐疑的になって本人の資質を確かめることもある。例えばおとなしい人でも
「営業成績社内ナンバーワン」である場合も十分にありえる。そんな人物を理解することが、「人物を読む」われわれの仕事の真骨頂である。
履歴書に嘘を書く人が多い、と言うと「私はそんなことはしない」とおっしゃる方も多いだろう。しかし、人は自分を良く見せたいがために、
無意識のうちに「自分がいつかそうなりたい」とイメージしている人物像と、現在の自分とを混同するものだ。
自分では嘘を言うつもりがないのであろうが、結果として自分を取り繕ってしまう。最初の小さな嘘が第二の嘘を呼び込み、
だんだん大きな嘘へと発展していくのである。
私は仕事柄履歴書を多く読むが、嘘のない履歴書、つまり自然な本人の姿が描かれている履歴書に出会うこともある。一方、
嘘が多い履歴書の場合、必ず何か違和感を感じる。勘が働くとでも言うのだろうか。損得勘定で言えば、履歴書に嘘を書くことは割に合わない。
では、あまり自慢できるような職歴もないとお嘆きの方はどうしたらいいか。誰にでも、語って価値のあるストーリーは必ず存在する。
見落としがちなのは、「相手が聞いて喜ぶ話は何か」という点である。野球に興味のない人に野球の話をしても話がはずまない。
国内営業の強化を求めて、即戦力となる経験者を採用しようとしている相手に、自らの海外営業体験や語学力を強調しても、
波長が合わないものである。
良心的なヘッドハンターであれば、ぶしつけな質問や、悪意を持った質問など絶対しないものである。
もちろん履歴書通りの方であってほしいという願いはある。しかし脚色された履歴書であることを本能的に悟ったとしても、
それをとがめるのが我々の仕事ではない。ご本人の長所を新たに聞き出して、
そちらを利用しながら転職の支援をすることに専念することもあるのである。
