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「デキる上司は休暇が長い」
小松俊明 著 (あさ出版)

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キャリアデザイン編:2004年01月03日(土)島耕作をヘッドハントとする

日本人ビジネスマンの成功モデルであり、仕事も恋も器用にこなす島耕作。漫画家、弘兼憲史の代表作、 「課長島耕作」の主人公である。ご存知の方は多いだろう。多くの日本人  ビジネスマンの共感を得て、このビジネス漫画は大ヒットした。 日本の大企業で働く中堅管理職である課長島耕作が、自分の主義主張を曲げずに、社内政治を勝ち抜き、出世していくという話である。

英語が堪能、結婚して娘もいる。奥さんとの関係は冷えているが(後に離婚)、娘とは信頼関係がある。一方、 器用に数多くの恋愛をスマートにこなす。海外出張も多く、海外駐在も経験。一時社内の内紛に巻き込まれて地方に左遷されるが、 上司の強い引きもあって復帰。経営トップとのパイプを作り、銀座の高級クラブのママともいい仲になる。日本人ビジネスマンは、 自分が実現できないことを島耕作に重ねあわせた。島耕作は日本人ビジネスマンの憧れのシンボルとなったのだ。

作品の中にはない架空の話だが、もし島耕作が30代前半で、企業派遣によって米国にMBAを取りに行っていたとしたら、 島耕作ストーリーは全く違った方向に展開していったことだろう。現実の世界は意外に地味である。元の職場に戻ったMBA取得者は2, 3年もすれば周りもそのことを忘れてしまうほど環境に順応してしまう。しかしこれでは漫画は面白くないし、 自分と重ね合わせることで憧れを感じることもないだろう。

一方、もし次のような展開だったらどうだろうか。

島耕作はMBA留学を実現した。同じクラスで出会ったリンダは魅力的な金髪の独身女性。 過去に中国人と付き合ってお金を騙し取られた経験を持ち、それがゆえに東洋人のことを忌み嫌っている。MBAのクラスのディベートでは、 必要以上に島耕作に敵対心を燃やし、流暢な英語で徹底的に島耕作をたたきのめす。

そんなある日、リンダはニューヨークのストリートチルドレンにお金を巻き上げられる 島耕作を路上で見かける。バカなヤツだと、 そのときは無視を決める。後日、リンダは同じ路上で島耕作をみかける。先日島耕作からお金を巻き上げたストリートチルドレン (グループのリーダー格で10歳になる男の子であるジョー)が、今日のカモを見つけるために道端で通行人を物色している姿を見つける。 ニューヨークのアップタウンにある 場所では誰も特に気にかけない日常の光景だ。

アジアからの旅行者をいいカモにしているストリートチルドレンのジョーは、狙いを定めて新たなカモである東洋人らしき男性に近づいていった。 「おっさん、金貸してくれない?」振り返った島耕作の顔を見て、とっさにその顔を思い出したジョーは、後ろを振り返らず逃げようとした。 後ろからジョーの手をつかむ島耕作。そしてこう言う。「君にまだ名前を名乗ってなかったね。僕はコーサクというんだ。What’s your name?」しぶしぶ、ジョーは名乗る。「ジョー、これが僕の名刺だよ。僕はアップタウンに住んでもうすぐ1ヶ月になる。 まだまだ新米だね。君のほうが僕より先輩だから、これからもよろしく頼むよ。あ、そうそう、 もしお金を借りたくなったらいつでも電話してくれないか。できるだけの協力をするよ。」ジョーは唖然として名刺を受け取った。

島耕作は、振り返るとその場を離れていった。一部始終を見ていたリンダは、「信じられない」と天を仰ぐ。一方、 リンダは心の中で何かが氷解していく気持ちを感じ始めていたのだ。翌日、MBAのクラスで島耕作とディベートをする。 どうもいつものキレがない。クラスメートもそのことに気がつく。リンダには子供時代の隠された過去があった…。

島耕作が典型的な日本人ビジネスマンのサクセスストーリーだとすれば、ビジネス環境の変化とともに、 描かれるべき成功する日本人ビジネスマン像も多様化していく必要がある。私は機会があれば、近い将来 「新しい日本人ビジネスマンのサクセスストーリー」を書いてみたいと思っている。漫画がかければそれにこしたことはない。 そのほうが多くの人に読んでもらえるからだ。

私はその中で、ヘッドハンターとして島耕作に挑戦するつもりだ。これまでの日本型ビジネスで成功した島耕作は、 グローバルビジネスの現場である外資系の世界でも通用 するのか。日本の特殊性をいたずらに主張する過ちを犯している日本の大企業が多い中、 実際、成功している日本企業、そして日本人ビジネスマンが持つ、グローバルに共通するスキルとは何だろうか。外資系ビジネスの現場で、 島耕作の判断力、交渉力、コミュニケーション力を検証し、「グローバルに活躍できる人材」ならば、ぜひとも引き抜いてみたいと思う。 こんなことが実現すれば興味深くないだろうか。

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