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小松俊明 著
(ナナブックス)

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キャリアについて:2004年03月30日(火)自分の望むキャリアを積むためにどうするか?

質問内容:
初めてメールをお送りします。 マツラボ研究員のxxxと申します。この度は、サイトリニューアルおめでとうございます。新コンテンツも着々と増えているようで、 毎日楽しませて頂いております。

さて、本日は、私のキャリアについてご相談に乗って頂きたく存じます。よろしくお願い致します。

■略歴(ご相談の前提として)
・1980年生まれ。
・2003年3月、xxx大学卒業。
・同年4月、国内ITコンサルティング企業入社。
・研修期間を経て、総務部門の新入社員教育を担当する部署へ配属。現在に至る。

■ご相談内容
▼端的に申しますと、自分の望むキャリアを積むことができない現状に、どう対応するかという事です。

▼私は、20代の前半でSEとしてのスキルを身につけ、そのスキルを売りに、20代の後半で外資系企業へ移りたいと思っていました。 外資系企業への転職の目的の1つは、小松様が著書の中でおっしゃっているように、市場価値を高めるためです。また、 国内にクローズせず外資系の環境で働く経験を積む事で、視野を広げ、自分の価値観を磨くという目的もあります。

▼一方、現在私は、新入社員教育という、SEとはほぼ無関係な仕事をしています。弊社の先輩社員の例から推測しますと、 私はこの先4~5年は今の仕事を続けることになりそうです。SEとしてキャリアを積んでいくことができるようになるのは、 その後ということになります。

このまま今の仕事を続けていても、20代前半の間に、他企業から評価をしてもらえるような経験を積んだり、 スキルを身につけたりすることができません。

もし外資系企業への転身を図るとすれば、SEとして3~4年経験を積んだ後、つまり、年齢としては32,3歳くらいになります。将来、 MBAもしくはMOTを取得する可能性を考慮して2年間のバッファを見込むと、“35歳”までに積むことのできる経験が限られてしまいます。

▼私は現在、どうにかして20代後半のうちに外資系の環境で働く機会を得られるようにできないかと考えています。そして、今のところ、 次の3つの選択肢を考えています。

(1)すぐに今の会社を辞め、第2新卒として他企業に入社し、リスタートする。
(2)今の仕事が一段落し、ボーナスが支給される月まで待って辞める。
(3)異動願を出す。(但し、受理される可能性は低い。その後ギクシャクするリスクも伴う。)

▼上述の件につきまして、小松様からアドバイス頂きたいと思います。よろしくお願い致します。

回答:
小松です。はじめまして。研究室に入っていただきうれしく思います。これからもどうぞよろしくお願いします。

さてxxxさんが悩んでいらっしゃる状況、よく理解できました。SEをご希望されていらっしゃったにもかかわらず、 それとは無関係の職務についていらっしゃることが、遠回りをしているようなお気持ちでいらっしゃること、無理もないと思います。 道を間違えたとお感じになって、軌道修正を直ちにしたほうがいいのではないか、というお考えも一理あると思います。 しかし後ほど詳しく述べますが、私は現時点での転職には反対です。

以上を踏まえ、私なりに、xxxさんの現状と今後の展望について、アドバイスしたいと思います。

xxxさんはITコンサルティング会社に入社されました。つまりコンサルタント (SE)として修行を積みたいという思いでコンサルティング会社に入ったのでしょうし、それが総務部に配属になったことで、 希望の職種から外れたという思いが強いのだと思います。

僕が新卒で就職したのは住友商事という会社で、入社した同期は全員が営業、それも国際貿易を希望していました。 商社マンとは世界をまたにかけて仕事をするもので、そうでなければ商社マンになる意味がないとほとんどの動機が考えていました。 ただし実際は営業に4割くらい、そのうち4分の1が国際貿易に配属されました。つまり全体の1割しか、 希望する国際貿易の仕事につけなかったのです。残りの社員は、人事、総務などの管理部門に行きました。 後に営業に異動になったものもたくさんいます。一方、そのまま10年以上、管理部門のスタッフとして働き、 現在30代の半ば過ぎになってもう営業や国際貿易の仕事をすることはない人たちも、全体の3割くらいはいます。

これを不幸と感じた人は、早い段階で会社を辞めるか、もしくは悩みながらも会社に残り今では、 管理部門のスタッフとして専門スキルを磨いている人もいます。

さてxxxさんの話に戻しましょう。

希望しない配属になり1年が過ぎましたね。1年というのはあまりにも時間が短く、もし人間関係などに大きな問題がないのならば、 私は今の会社を辞めるという選択を避けることをお勧めします。というのも、やはり3年くらいはやらないと、 外資系の世界にいずれくるにしても、仕事を覚えたといえないからです。

ITコンサルティング会社の総務部の機能を身につけるのに5年もいらないかもしれません。ただ1年では短すぎるように思います。 石の上にも3年ではありませんが、転職市場、 特に外資系企業では3年未満のキャリアはまったく実績としてみなさない傾向がありますから注意です。

できれば、今の仕事を近い将来、SEとして、コンサルタントとしてスタートするための助走期間だと思えばよいですし、 それの期限を3年くらいに見るのがいいのではないでしょうか。

商社でも、最初は審査部や経理部に配属されて、のちに営業に出た人もたくさんいました。管理部門から営業を見た経験が生かされたと、 多くの人が言っていました。

これと同じように、ITコンサルティング会社の管理部門の仕事をしっかりと身につけることが、将来役に立つと思います。この3年間は、 将来の自分への投資だと考えるほうが得策であると思います。

一方、上司にも、このような前向きな考えをことあるごとにアピールすることが大切です。つまり自分はSEになるためにこの会社に入った。 今は管理部門で、仕事を覚えて、ITコンサルティング会社の管理部門の仕事をマスターしたいと考えて一生懸命仕事をしている。 ただし自分はSEになりたいので、最大3年くらいまでにSEとして自立したい。 そうしないとSEとして将来活躍するためのスタートで出遅れることになる。自分の希望が実現するよう、指導して欲しいし、 チャンスを与えて欲しい。自分のキャリアの一つの区切りを3年後に見直すつもりであり、 それが実現しない場合は自分は会社に残る意味がなくなるし、そうなって欲しくない。この会社で自分の力を発揮したいと思うし、 SEとしてこの会社で成功したい。これが自分の考えである。このように直属の上司、そしてその上の部長さんにお酒の席など、 リラックスした席、そして人事部との面談などで言うことです。真剣に、本気であることをアピールすることです。 これをやってもチャンスがまわってこない会社なら、3年たった頃を目処にあきらめることです。

会社を辞めるというのは、大きなリスクがあり、とくにまだ実績を残していない若い人がやめるということは、 どちらかというと得るものよりも失うことが多いというのが僕の意見です。

ただ3年くらいという期限を切り、また自分が本気だということを上司に訴えることを忘れず、また目先の管理部門の仕事を手を抜かず、 それなりの実績を示して、できるヤツだと思われることが大切だと思います。

1年で会社を辞める、またそれが希望する仕事でなかったため、という説明は、特に新卒のような経験や実績がほとんどない人の場合、 キャリアに傷をつけることになりかねません。

どうぞ慎重にお考えになってみてください。かげながら応援しています。

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