キャリアについて:2004年03月18日(木)私費で取るMBA について
質問内容:
先日、小松様が執筆された「役に立つMBA、役に立たないMBA」を読みました。そして自分は今年の秋にMBAの受験を私費で考えています。
自分のプランについて小松様からご意見頂ければ幸いです
現在、米国在住です。そして米国のxx会社で、現地採用にて、北アジア地域への商品開発を担当しており、肩書はDirector of
xxxとなっております。ざっと経歴をお話すると、xx大学を卒業、当初は日本の大手xx会社で6年、個人及び法人営業を経験し、
ヘッドハンターからの誘いで欧州系のxx会社へ転職しました。そこで2年、商品開発、マーケティング戦略に携わり、グループ内の異動で、
アメリカ部門へ転勤し、アメリカでも同様の仕事に携わり、同時に日本法人へのアドバイスも行ってきました。
アメリカで勤務し1年が過ぎた一昨年の暮れ、この欧州系のxx会社のアメリカ部門のみ、米系のxx会社に買収され、
日本法人より戻って欲しいとの要請がありましたが、断りこの米系xx会社の国際部門に現在勤務しております。
ちなみに大学時代は体育会xxx部に所属、現在も趣味としてやっています。
現在、商品開発を行っていますが、最高の商品を作り出す為には、自分の責務を越えた、権限の必要性を実感しており、(具体的には、
低廉な料金の提供の為には、社内コストの抑制が必要、効率的なマーケティング戦略の実施の為には効率的な会社組織が必要)
これらを管理できるポジションにつきたいと考え、40代に外資系のxx会社でアジア地域での商品開発、
マーケティング戦略の責任者となりたいと考えています。(現在30代前半です)。そして、
このポジションを獲得する能動的な手段として3つ手段が考えられ、その一つがMBAなのです。
一つ目の選択肢として、現在の会社で昇進しアジア地域へ派遣されるという手段があります。
しかし僕が専門とする商品のアジアマーケットへの積極的な開発に、現在の会社の国際部門が歴史的に経験が無く、かつ消極的である事、
一部の本部での役員は自分の専門分野に関心を示しているが、大半が懐疑的であり、昇進の為には成功を残さなければならないが、
その土俵にも今乗れていない状態です。現在の上司はこの自分の専門分野に興味を示し、雇ってくれたのですが、
ここまで自分の提案へ抵抗が激しいとは予想できず、途方にくれている状態です。根気強く説得を続けていますが、
しかしいつまでも結果が出ないようであれば現在の会社を辞めなければなりません。ある一人の役員から、君の分野に興味があるので、
下で働いてみないかと打診もありました。しかし、
より影響力のある人の下に付いたとしても状況はそう劇的に変わるわけでは無い事を自分は認識しています。そして彼は日本にいる為、
日本に戻らなければなりません(家族としてはアメリカに引き続き暫く残りたいという希望があります。)
二つ目の選択肢が、自分の専門とする商品に注力している会社へアメリカで転職し、昇進しアジア地域への派遣です。
近々ある会社とインタビューをしてもらえる事となりました。アメリカの会社は外国人の採用には非常に消極的である事は承知の上で、
その場でアメリカより、アジア地域の戦略に携わりたいと話すつもりです。自分はビザのスポンサーが必要なのです(以前の転職の際は、
買収というラッキーな出来事のため、コネクションを利用し、この壁を克服できました)。このインタビューは、
僕を欧州系xx会社へ誘ってくれたヘッドハンターへお願いしました。
そして三つめがMBAです。現在勤務している会社はMBAの奨学金制度もあるのですが、規定上、外国人は利用出来ず、
私費で行かざるを得ません。具体的に、MBA卒業後、
外資系xx会社へ現地採用としてマネジメント候補生としての採用される事を目標としています。ターゲットとする会社が2―3社あり、
彼等は小松様が書かれたようなGEの制度を持っています。そしてその2―3社にアクセスしやすい地域にある学校の受験を考えています。
そして目標とするポジションにはマネジメントスキルが必要とされ、MBAでこの分野を学術的に鍛える事が可能です。
自分は既婚で娘が一人おります。学費に関しては幸い両親からのバックアップが期待出来そうです。
目標の為に能動的にどんどん動いて行きたいと思っております。そしてMBAが一番、自分の力で達成が可能なものです。
加えてMBAであればインターンによってコネクションを作る事も可能だし、
上述のマネジメント候補生は条件にトップスクールのMBAを持っている事が条件となっています。又、
アメリカは日本よりも学歴社会だと思っています。特にマネジメントレベル、そして外国人に対してはその傾向が顕著です。
外資系でキャリアを全うするのなら、日本の有名大学卒では何の意味もありません。つまり今の自分の弱点であるネットワーク、
学歴をMBAはカバーしてくれると考えています。
一つ目の選択肢はある意味、ここはエクゼクティブ デシジョンが必要な時期にきており、自分の力でどうこうするレベルでなくなっています。
二つ目の選択肢は、国際保険分野という非常にニッチなエリアにコネクションがなく、ビザの問題もあります。
両親も自分が悩んでいる事を知り、小松様の著書を送ってくれたのです。小松様もお書きのとおり、
アジアにおける現地法人の主要なポストは殆ど本国からの派遣となっています。
能動的にこのラインに乗る為にはどうすべきかと言う事を日々考えています。多分、欧州系のxx会社で、
アメリカへの異動の際このラインに乗りかけたのでしょう。しかしアメリカであえて働く事がキャリアの為と考えて、
日本法人からの帰国の要請をあえて断りました。
長いメールになりましたが、小松様の目から自分のプランを評価して頂けると幸いです。何分、現在MBAの勉強に注力しており、
凝り性という自分の性格上、周りが見えなくなっている事も確かだと思うので、第三者からのアドバイスを頂きたいと切に願っております。
又、出来ましたら、米国のxx業界に非常にコネクションのある、日本人のヘッドハンターを小松様はご存知ないでしょうか?
選択肢の二つ目についてもう少し動いてみたいと思うのですが。僕のポジションは非常にニッチであって、
なかなかパブリックに募集をしていない、もしくは前述のとおり、MBA保持が必須ともなっていますので。
そして僕自身の現在のマーケットバリューについてどう思われますか?
最後になりますが、突然のメール申し訳ございません。そして「役に立つMBA、役に立たないMBA」
については自分にとって非常にタイムリーな本でした。今後何回も読み直させて頂くと思います
回答:
小松俊明です。米国にてがんばっていらっしゃる様子が、メールから読みとれました。また私の近著をお読みいただきありがとうございます。
私はxx業界を専門としていませんが、自分の経験から、xxさんのお問い合わせについて、できるかぎりお答えさせていただきます。
米国でご活躍されている人材(日本人)が、日本に帰国されて職を求める際に、ハンディが生まれる場合があります。
最近そうしたケースが若干目立つことが気になりますことを、まずは率直に申し上げたいと思います。
転職活動の不便さという点のみならず、日本マーケットの現状に疎遠であることが指摘されています。
また日本がアジアの中心的役割を果たさなくなった今、多くの国際企業では、アジア地区の役割を果たす人材に本社の欧米人を起用しており、
その次に優先されているのは、シンガポール、香港、上海あたりにいる海外で教育を受けた中国人です。
この段階に来て、いよいよアジアに広く人材が求められており、日本を除いたところで、人材の流動化に拍車がかかってまいりました。つまり、
本社の欧米人がアジアに赴任するのはしょうがないとしても、競争相手の本命がいよいよ海外で教育を受けた中国人という構図になってきました。
中国人は、アジアにおいて共通の言語もあり、広くネットワークを広げますから、人的な結束も国際企業内で作りやすく、そのため、
この傾向が加速しています。
欧米の有力MBAの取得をすることは今のxxさんにとって、米国にいるという土地の利を生かすことになり、30歳前半という年齢を考えれば、
挑戦しても良いのではないでしょうか。
もしもう一つスキルを身につけるとすれば、私は中国語をマスターすることをお勧めします。以上を35歳くらいまでに実現できれば、
いわゆる国際企業で頭一つ飛び出るためのクオリフィケーションとしては、十分であると思います。
私は以上のような条件を備えた日本人の方にお会いしたことが何度かあります。ただし成功しているばかりでもないというのが、正直な実感です。
日本の社会は、ある意味ショートカットをまだ十分許容できない風土があり、先進的な一部の外資系においてさえも、
いわゆるショートカットを目指した外国帰りの日本人に対して、それを支えきれない泥臭さがかなり存在しているように思います。
私はxxさんのような人材がもっと増えることを期待していますが、一方で、昨今の日本経済の弱体化、
中国人を優遇する反面日本人はずしの現状を見る以上、日本人としてショートカットを画策することが、
必ずしも期待とおりのリターンを望めないかもしれません。日本を知らない、もしくは日本で実績が足りない日本人は、
場合によって宙に浮いてしまう可能性、リスクすらあるということです。
それだけ日本人に対する信頼度が国際企業を中心に残念ながら低下しているということだと思います。
そのような意味で考える限り、MBA取得が必須という結論にはならず、やはり専門分野で実績を積み上げ、
いわゆるチャンスをうかがうという地道な原点に戻るのかもしれません。
どうぞこれからもがんばってください。またホームページにも訪問下さい。
