目次1-2 6)翻訳力
相性の合う人もいれば、まったく合わない人もいる。仲良くなるためのハードルが高い相手とは、いつまでたっても分かり合えない。だったら分かり合わなくてもいいじゃないか、といいたいところ。ただしそれが仕事となるとそうもいっていられない。自分の好き嫌いで、人を選別しては、思うような結果を得られないことが多いのが、仕事の現場の現実だ。
そこで、「翻訳力」について話をしたい。外国語(たとえば英語)を母国語(日本語)に訳すること、これが翻訳という言葉から受ける、最初のイメージに違いない。たとえばハリウッド映画を見てるときは字幕を読みながらその映画を見ていることが多い。しかしよく俳優達の英語たちを聞いていると、翻訳しだいで映画の内容から受ける印象がまったく変わることに気がつく。英語の得意な人からすると、「エー、そんな訳でいいの?」と思うこともしょっちゅうあるだろう。つまり、翻訳しだいで、映画の内容すら変わってしまう。
字幕翻訳者の仕事は、直訳をするのではなくて、上手に意訳をして、映画の本来意味することを、誤解をうまないように日本語に置き換えることである。それが成功している場合もあるが、残念ながら失敗しているケースも多いように思う。それだけ翻訳とは難しいということだ。
話を戻そう。ぼくは翻訳力の大切さを最近、痛感している。世の中、世代間ギャップが急速に拡大している。社会も二極化していく。他人との距離も広がっている。職場では、上司と部下の距離も広がっている。こうなると、翻訳力をどれだけ上手に発揮できるか、それがパフォーマンスの違いになって明確に現れる。翻訳力は外国語の解釈をすることを意味しているだけではない。同じ日本語であっても、相手の意味するところをより正確に読み取れるかどうか、その力をさしているのだ。
コミュニケーション能力の中でも、僕はこの翻訳力が一番大切であると思っている。相手の真意を汲むこと、これはビジネスの一番重要な部分である。相手のニーズを知る力と、言い方を置き換えてもよい。パフォーマンスをあげたい人は、翻訳力を磨かなければならない。
